K-POP推しの実態
「推し」にはアイドルなどだけではなく、漫画や動物・乗り物など幅広い項目が含まれていて、そのなかでK-POPに魅力を感じていると答えたのは、女性の場合は10代後半が17%、20代が9%、30代が6%、40代が7%、50代が5%、60代が2%である。一方で、男性の場合は10代後半が7%、20代が2%、30代が1%、40代が2%、50代が1%でしかなく、60代に至っては0%だ。
つまりK-POPに対して、日本人男性は10代を除けば推し活をしている人は極めて少なく、中高年に至ってはほとんど魅力を感じていない。一方で女性の場合は、中高年女性のK-POPファンは男性アイドル(旧ジャニーズ)ほどではないとしても、それなりの割合を占めている。娘と母親が一緒になってK-POPアイドルの推し活を父親が横目で見ているという家庭もあるだろう。
aespa(写真:OSEN/共同通信イメージズ)
そういえば、娘が父親とK-POPで推し活という話は、個人的に聞いた記憶がない。
それはいったいどういうことなのだろうか。そのことを探るために、まずは、韓国を拠点に活躍する韓国人歌手の紅白出場の歴史を簡単にたどってみよう。
それは40年ほど前の80年代半ばまで遡る。当初は韓国で「トロット」と呼ばれる大衆歌謡で、とりわけ演歌調の歌を得意とする歌手が登場していた。
K-POP歌手の紅白出場の道を切り開いたのは、2000年代にアメリカでも活躍したBoAだと言われている。彼女は02年から6年連続で紅白出場を果たし、流麗なメロディーにテクノ系の要素を取り入れ、ビートを利かせた楽曲で、圧倒的な歌唱力とキレのあるダンスを披露した。
2008年には東方神起がK-POPアイドルとしてはじめて紅白の舞台を飾り、それ以降、3年連続での出場を果たす。ところが、11年には少女時代とKARAが登場するものの、12年から5年間はK-POPアイドルの出場は途切れてしまう。17年から19年まではTWICE(トゥワイス)が出場を続け、20年と21年にはNiziU(ニジュー)がステージを飾った。
紅白でのK-POPにとって大きな転機となったのが2022年だ。このときはNiziU、TWICEのほか、初登場のガールズ・グループLE SSERAFIM(ル・セラフィム)、IVE(アイヴ)を加え、一挙に過去最高の4組が出場した。
翌2023年には紅組にNiziU、LE SSERAFFIM、MISAMO、白組にStray Kids、SEVENTEENの5組がリストアップされたほか、NewJeansが特別出演した。そして昨年には紅組にLE SSERAFFIM、TWICE、ILLITが、白組ではTOMORROW X TOGETHER(トゥモロー・バイ・トゥギャザー)の合計4組が名を連ねた。
この流れのなかで特に注目したいのが、コロナ禍にあった2021年前後である。このころから日本ではSNSが社会に深く浸透してきた。LINEも21年にショート動画をスタートし、SNSとしての地位を高める。あるいは16年に中国で誕生したTikTokの人気が爆発したのも21年である。