韓国ソウルで起きた飲酒運転事故で日本人女性が死亡。令状実質審査に出席する運転手(写真:YONHAP NEWS/アフロ)
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(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授)

 ソウル市の名所・東大門の交差点で11月2日夜、日本人観光客死亡事故が発生した。運転していた30代の男は泥酔状態で、事情聴取は翌日に延期。死亡したのは50代の女性で、同行していた30代の娘は肋骨を折るなどの重傷を負った。

 この事故は日本だけでなく、韓国でも衝撃をもって受け止められている。日本メディアは現地で市民にインタビューし、「韓国は処罰が甘すぎる」などのコメントを紹介している。
    
 一方、韓国メディアは当初、娘が母親を誘って韓国にやってきた「親孝行旅行」で、旅行の初日に事故に遭ったことなどを報じていた。だが、その後は日本メディアの報道ぶりや、日本社会の反応を紹介するようになった。

 とりわけ、飲酒運転の摘発件数で「韓国が日本の6倍」という情報は、主要メディアも繰り返し報じている。件数が6倍なのだから、人口比を考慮すれば摘発率は韓国は日本の12倍を超えることになる。

 日本でのこうした反応が報じられるなかで、韓国では飲酒運転に対する批判が高まっている。あるネットメディアは4日付の記事で、日本人のコメントを引用しつつ、飲酒運転の多い韓国に対し日本で「憤怒が高まっている」と報じている。

 飲酒運転の摘発が多い韓国では、飲酒運転事故の件数も多い。2022年の飲酒運転事故件数は、日本の2167件に対し、韓国が1万5059件となっており7倍以上だ。これを人口1万人あたりの飲酒運転事故件数で比較すると、韓国は日本の約17倍にもなる。

 なぜ、韓国ではこれほど飲酒運転により事故が多いのだろうか。飲酒運転に対する罰則が、日本よりも軽いのだろうか。