蘇る142年前の手痛い失敗、トランプの不法移民強制送還は米経済を破壊する
明らかになった大量強制送還の全容、物価高騰とインフレ高進は不可避か
2024.12.14(土)
高濱 賛
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トランプ流は物価上昇、インフレ招くだけ
トランプ氏は自ら掲げた不法移民の大量送還を自画自賛しているが、移民問題を経済・地政学的に研究している専門家たちの目は冷ややかだ。
ジョージ・メイソン大学のマイケル・クレメンツ教授はこう論じる。
「トランプ氏らは、不法移民の送還は米労働者の賃金を上げると主張しているが、結果はおそらくその逆になるだろう。物価は上昇し、インフレを招く」
「不法移民は米経済の様々な分野で活力源になっているからだ」
(americanimmigrationcouncil.org/research/mass-deportation)
ハーバード大学のマルコ・タビレニ助教は同大学のビジネス・スクール誌に論文を投稿し、こう論じている。
「確かに現在の移民政策は抜本的変革を必要としているが、トランプ氏の手法は間違っている」
「トランプ氏は、不法移民送還作戦には最低860億ドルがかかると言っているが、そんなカネはどうやったら出てくるのか」
(library.hbs.edu/us-immigration-changes-are-finally-coming-but-not-the-right-ones)
不法移民の大量送還は、トランプ氏にとっては大統領選で勝利した「錦の御旗」。
どうしても実施し、後世に名を残すレガシーにしたいところだ。だが、いざ実施に移そうとすると難題が待ち構えている。