賃上げのホンネとタテマエ
パーソル総合研究所が2022年に行った「賃金に関する調査 」から、企業の経営層の賃上げに関する意識を見てみよう。
<賃上げに対する経営層の考え>
「賃金アップは投資だ」とする企業は38.1%であり、「コスト増だ」とする企業のおよそ2倍だ。一方で、「会社の成長なくして賃上げは難しい」とする企業が63.0%と大きな割合を占め、「賃上げなくして会社の成長は難しい」とする企業は、その10分の1ほどに過ぎない。
投資は成長のために行うものであるはずだが、「賃金アップは投資だ」はタテマエ、「会社の成長なくして賃上げは難しい」がホンネと見えなくもない。
業績と賃上げとの関係を見ると、業績好調な企業では、「自社は賃上げに積極的だ」「賃金アップは投資だ」とする企業が半数以上を占め、業績不調の企業の回答とは真逆の傾向である。
<業績と賃上げとの関係>
業績好調でも投資家への還元や内部留保・設備投資を優先する企業や、業績不調ゆえに賃上げをしたくても「ない袖は振れない」企業もあるだろうが、好循環をキープする企業と負のスパイラルに陥る企業が、はっきり分かれているように見える。