2%未満の国債利回りは稀な事象だった

 14世紀から現代まで通期で見てみると、国債利回りの最低水準は、おおむね2%程度であったのが確認できる。2%ラインを下回ることはあるが、その後に利回りが急上昇する傾向があり、2%未満の国債利回りは稀な事象として記録されている。

 また、2%程度まで国債利回りが低下する局面では、チューリップバブル、南海バブル、ミシシッピーバブルなど著名なバブルが発生しているケースも多いのが特徴だ。低金利は、より有利な投資対象への資金移動を促し、時として資本主義特有のレバレッジを伴うバブルを発生させてきたと言えよう。

 この国債利回りは、2010年代に2%ラインを下回り、一部地域の国債はマイナス圏に突入した。その後米国などの国債利回りは、インフレ率の上昇などを理由に2%ラインを上回ってきているものの、わが国やスイス、そして一部欧州地域の場合には、いまだに2%水準を下回っている。

 一時的とは言いきれない期間にわたり2%割れ期間が続いているため、これが、一時的現象なのか否か判断がつかない。過去のパターンが踏襲されて2%下限説が今後も受け入れられていくのか、それとも異次元の2%割れ常態化説が受け入れられるようになるのか、現在その分水嶺にあると言えよう。

 今のところ、米国などの場合は、2%割れを例外とみなせるが、経済停滞が指摘されている中国では2%ラインを下回りそうな状況に位置づけられる。

 金利水準が2%ラインを挟んで二極化しているが、仮に再び2%割れが定着するならば、数十年先の歴史家からは、2025年は大きな転換点であったと評価されるであろう。われわれは、それくらい大きな変化点になりうる境目で、金融市場に接している。

 そのため、冒頭に記したような政治的な不透明感という次元を大きく超えた、経済的不確実性に直面しているわけだ。少々、大げさだが、国債利回りの先が読みにくい理由は、「金利の歴史』からみた超長期の転換点でもあるからとは言えまいか。