若年層も株価指数に連動する投資信託などで積極的に投資に乗り出している。写真はイメージ(写真:Keisuke_N/Shutterstock)

(平山 賢一:東京海上アセットマネジメント チーフストラテジスト)

株価指数に連動する「パッシブファンド」が新NISAで人気に

 新NISA(少額投資非課税制度)スタートにより、家計の投資信託保有が話題を呼んでいる。株価も上昇基調で推移しているため、人気に拍車がかかっているのである。特に株価指数に連動するタイプの投資信託には、多くの資金が流入しているとのこと。このタイプの投資信託は「パッシブファンド」と呼ばれている。

 ファンドマネジャーが少数の銘柄を選択して投資するタイプの「アクティブファンド」と比べれば、企業調査コストなどが節約できるため、相対的に信託報酬が抑えられている点が評価されている。長期保有する場合、運用に必要なコストが低ければ低いほど、最終的な運用成果に大きな違いが出てくるからだ。

 一方、意外と意識されていないのは、同じ市場を対象にする指数でも、その算出手法や対象範囲により、数多くのタイプが存在しているという点だ。

 たとえば、米国株式を対象にした株価指数であっても、指数を算出する指数プロバイダーによって様々な指数が存在している。この指数次第で最終的な投資成果は大きく異なってくるだけに、投資にあたっては、どの指数に連動しているパッシブファンドなのかを注意深く検討すべきなのは言うまでもない。選択の適否により、運用コストの多寡をはるかに上回る違いになってくるからだ。以下では、パッシブファンドが連動する指数についての特徴を整理してみよう。

株価指数によって異なる投資成果

 まずは、米国株価の動向を示す代表的指標として名高い「ダウ工業株30種平均」と「S&P500種株価指数」を比べてみよう。

 前者は米国を代表する30銘柄、後者は流動性のある銘柄から選ばれた約500銘柄で構成され、対象となる銘柄数が大きく異なる。それだけでなく、平均株価を指数化するか、時価総額を加重平均して指数化するかといった算出手法も異なる。

 そのため、2023年の上昇率は、ダウ平均が13.7%、S&P500が24.2%であった。1年間という限られた期間では、10.5%も格差が生じてしまっている。