「オーガニック給食」、なぜ拡大?
東京都内で2022年10月に開催された「全国オーガニック給食フォーラム」の第1回を契機に、全国の推進市町村、有機農業への切り替えを図るJAなどが連携を強め、普及運動が加速した。2023年6月には「全国オーガニック給食協議会」が発足。会員数はその後の1年余りで、38市町村、72団体、244個人にまで膨らんでいる(2024年10月末現在)。
これと同時期に、超党派の国会議員による「オーガニック給食を全国に実現する議員連盟」も発足している。
普及活動の拡大は、農林水産省の資料からも見て取れる。
学校給食で有機食品を使用している自治体数は、2020年度の123市町村から2021年度は137市町村に増加。2022年度には前年度より4割も多い193市町村に上った。全国の市町村数1718(北方領土の6村除く)の1割を超える規模だ。複数の市町村首長がオーガニック給食の実施に意欲を示していることから、今後さらに増加する見通しだ。
政府の後押しもある。
主要な政策の1つは、農林水産省による有機農業の拡大支援だ。農水省は2021年、「みどりの食料システム戦略」を策定し、2050年までに有機農業面積を全耕地面積の25%(100万ヘクタール)にする目標を掲げている。目標達成には、有機食品の消費拡大の仕組みも必須。そこで、同省は、生産から消費まで一貫した取り組みを地域ぐるみで進める「オーガニックビレッジ」の支援も始めた。
実は、オーガニック給食への試行的な取り組みも農水省による支援の対象となっている。「オーガニックビレッジ」に取り組む129市町村のうち、117市町村がオーガニック給食を実践するまでになった(2024年8月時点)。
文部科学省も動き始めた。学校給食での地元産有機食品の活用について「教育的意義がある」とし、2025年度予算の概算要求でオーガニック給食に関連する先進事例創出のための研究事業を計上した。環境負担低減や食料安全保障の観点を含めて、児童生徒の食育を推進することを目的にしているという。