ホワイトエールでつくるサクふわおつまみフリットホワイトエールでつくるサクふわおつまみフリット

 クラフトビールとは、小規模な醸造所(ブルワリー)で作った手作りのビールのこと。なかでも「マイクロブルワリー」は、年間生産量が約180万リットルを下回る規模の醸造所を指します。

 1994年に酒税法が改正され、ビールの最低製造量が年間2000キロリットル以上から年間6キロリットルにまで引き下げられたことで、日本国内のブルワリーはここ10年で3倍近く、2019年比でも2倍近くまで増加しています。

 作り手の顔が見えるクラフトビールでは、フレーバーや製造方法、原料などそれぞれに工夫が凝らされ、ビールを選ぶ楽しさを味わえます。

 コロナ禍以降、家飲みする人も引き続き増え、クラフトビールを選んだり、おつまみを作ったりする余暇を過ごす方も増えています。ペアリングを楽しみつつ、ビールを使って作るおつまみを、栄養士の中川佑衣さんに教えてもらいました(吉川愛歩:編集者・ライター、写真:今別府紘行)

クラフトビールの種類は「ラガー」と「エール」に分けられる

 クラフトビールは、「ラガー」と「エール」の2種類に分かれます。いずれも麦芽を主原料としている点は変わりませんが、酵母が違うのが大きな特徴。ドイツ地方発祥の「ラガー」はアルコール度数が高め。濃厚でコクがあり、苦みとキレのある味わいです。

 一方の「エール」は、イギリスで発展したビール。酸味が印象的で柔らかな口当たりと、フルーティーで豊かな香りがあります。

 ちなみに、クラフトビールでよく見かける「IPA(アイピーエー)」という文字は、インディア・ペールエールの略。

 インドがイギリスの植民地だったころ、インドにいるイギリス人に送るためのビールとして作られたのがはじまり。輸送中に傷まないように、という理由で防腐剤にもなるホップを大量に入れているため、ホップの独特な香りと苦みがあります。

クラフトビールはなぜ高い

 クラフトビールは一般的なビールより価格が高く設定されていることも、特徴のひとつ。なぜ、高価になってしまうのでしょうか。

「大量生産で作る大手メーカーと違って、クラフトビールは小規模で作るため、原材料や設備などのコストを回収しにくいという側面があります。また、クラフトビールを選ぶときに楽しいパッケージのかわいらしさもデザイン費用がかさむ理由。オーガニック原料や環境に配慮した持続可能なパッケージングを採用している醸造所も増え、コストを上げてしまう要因になっています」(中川さん)

 なかなか気軽には飲めないくらいの価格設定のものもありますが、たくさん飲むのではなく、手作りのクラフトビールをじっくり味わうのもいいですよね。