韓国社会の反応は冷ややか

 また、梨花女子大以外の6つの女子大では、授業料の引き上げが可能な大学院や留学生などで男子の入学を受け入れている。

 大学の財政難のなか、男子学生に対する門戸を広げるしかないのだ。

 さて、同徳女子大の「共学化反対デモ」は、新男性連帯という男性の団体が同大学内のデモの様子を撮影したり、校内へ男性の部外者が侵入するなどで、共学化からジェンダー問題へと少しずつ形を変えつつある。

 また、同大学の一部の学生は反対デモにより授業権を侵害されたとして「被害者の会」をつくり、大学側はデモによって最大54億ウォン(約5億9000万円)の被害が発生したと発表するなど、共学化の議論とは別の争点でも騒然となっている。

 だが、学生たちが抗議デモによって勝ち取ろうしたものは果たして何だったのか疑問も残る。

 アイデンティティを変えてはならないとするならば、もう少し平和な方法はなかったのだろうか。

 暴動化したデモに対して、ネットでは「女子大無用論」が盛り上がるなど、韓国社会にはあまり好意的には受け取られなかったようだ。

 韓国産業人力公団の理事長はフェイスブックで次のようにつぶやいた。

「最近ソウルD女子大学生たちの校内施設物破損、消せない非可逆的な落書き、教授や職員に対する暴力的な言動、設立者の銅像の毀損などに関するニュースに接して考えさせられた」

「企業が人事採用する場合、(出身大学名を伏せる)ブラインド採用であっても、できればこの大学出身者は避けたいと思うに違いない」

「また、息子を持つ父親の立場としては、この大学出身の嫁はもらってほしくないとも感じる」

「幸い、私の長男の嫁は共学出身の真面目な良いお嫁さんで、次男の彼女も共学出身の従順な人だそうだ」