東芝テック 代表取締役社長の錦織弘信氏(撮影:榊水麗)

 小売業向けPOSシステムの販売で世界シェア1位を誇る東芝テック。錦織弘信社長は、現在の高いシェアに安住せず、メーカーからソリューション提供企業への変革を主導する。その狙いはどこにあるか。同社の2大事業である、リテールソリューション、ワークプレイスソリューションのうち、前編ではリテール領域のビジネスについて聞く。(前編/全2回)

リアルビジネスから生まれるデータプラットフォームの強み

──2020年に社長に就任後、翌年には新しい経営理念、ビジョンを策定しています。そこでは「社会課題を解決するグローバルトップのソリューションパートナー」という成長モデルを掲げています。その理由は何ですか。

錦織弘信氏(以下・敬称略) 当社は長年にわたり、小売企業のPOSシステムやオフィスで使う複合機など、ビジネスの現場で使う製品を開発し、それを収め、保守するビジネスをなりわいとしてきました。

 2021年に発表した経営理念とビジョンは、その事業基盤を生かしてお客さまの課題を解決するサービス、すなわちソリューションを提供するパートナーとなりたいという宣言です。そして、お客さまの課題を解決することで、ひいては社会の課題も解決することにつなげていきたい。そう考えています。

 ただし、パートナーとなるためには、当社がお客さまに選んでいただけるソリューションを提供できる強みを持たなければいけません。当社の場合、それは「タッチポイント」に集約されます。