技能実習生が日本に来るプロセス

吉水:たとえば、ある地域の縫製の企業が技能実習生を受け入れたいという場合に、その地域の縫製会社の経営者が集まり、監理団体を作るケースなどがあります。

 同じように、様々な分野の企業が集まって監理団体を立ち上げています。積極的に勉強会などを開き、技能実習制度をよく理解して正しく運用しようと努力する監理団体もたくさんあります。

 一方で「頼まれたからやっているだけ」という感覚の方や、「技能実習制度を上手く使えば儲かりそう」という程度の感覚を持つ方が監理団体をする場合もあります。そういう監理団体が「妊娠して働けないなら帰国」という考え方をしてしまうんです。

──監理団体は国によって監視・管理されていないのでしょうか。

吉水:外国人技能実習機構(OTIT)という国の機関があり、ここが技能実習生と監理団体を管理しています。OTITは地域ごとに事務所があるのですが、問題が発生した時に連絡しても、迅速に、丁寧に対応してくれないということが少なくありません。

 さらに、問題がある程度大きな場合、OTIT本部の判断に委ねられることがあるのですが、本部が何をどう考えているのか、開示してくれないのです。OTITは多くの場合、メディアの取材もシャットアウトしています。

──本書では、どのようにして技能実習生が日本に来るのか、一連のプロセスを解説されています。日本の企業の面接に合格した方は、出国前に4カ月から1年ほどトレーニングを受けて、さらに「センター」と呼ばれる送り出し機関から多額の借金をすると書かれています。

吉水:送り出し機関によって入り口には多少の違いがありますが、まず、仕事の募集が日本からきます。そうすると、ベトナムの送り出し機関が技能実習生の募集をかけます。

 集まった人を日本企業が面接して、内定をもらった人がセンターに入り、最低3カ月、長い時は半年ほどトレーニングを受けます。この間に日本に入国するためのビザの申請を行い、その進捗に合わせて日本に入国するタイミングが決まるのです。

 私は2カ月に1回ほどベトナムを訪れて、現地の送り出し機関やセンターの視察をしています。センターでは、8畳から10畳くらいの部屋に二段ベッドが敷き詰められていて、そこで技能実習生たちは寝起きします。雰囲気はどこか軍隊のような印象です。

──技能実習生は「安価な労働力」と考えられるということですが、技能実習生は日本でどれくらい稼ぐのでしょうか。