犯罪被害者給付金制度の対象にならない犯罪被害者や遺族がたくさんいる現実
民事裁判の判決は10年で時効を迎えます。それを有効にしておくためには、再度提訴する必要があり、そのためには被告の現住所が不可欠です。しかし、出所後、彼の行方がわからないため、現時点ではそれすらできないのです。
「本当に理不尽です。そもそも、賠償義務を負った外国籍の被告を、なぜ原告に一言の通知もなく帰国させてしまうのか。現状の法律ではなにひとつケアできていないんです。国として外国人を受け入れるなら、最低限のルールをつくってほしいと強く思いましたね」
国は『犯罪被害者給付金』という制度をつくりました。しかしその対象は、『殺人などの故意の犯罪行為により不慮の死を遂げた犯罪被害者の遺族、または重傷病、もしくは傷害という重大な被害を受けた犯罪被害者』が対象で、眞野さんのように『過失』による交通事故の遺族は対象ではありません。
「日本の中には私たちのように救済から取り残された被害者がいったいどれくらいおられるのでしょう。おそらく、声を上げられる人はごく一部ではないでしょうか。北欧のスウェーデンとノルウェーには犯罪被害者庁があります。すでに議論が起こっていますが、わが国にもそうした省庁を作り、真の被害者救済に取り組むことが必要です。このことを私の目標のひとつに掲げ、活動していきたいと思っています」
どれほど月日が経とうと、理不尽な事故で我が子を亡くした悲しみは癒えることがないという眞野さん。奇しくも現在、法務省では「危険運転致死傷罪」の罰則の改正や法整備についての検討会が行われています。また、外国人労働者の受け入れについても議論が高まっています。自身の過酷な体験から湧き出た諸問題を、国の仕組みにどう反映していくのか、今後の取り組みに期待したいと思います。