トランプ政権は「危うい西欧型連立内閣」

 トランプ第2期政権の閣僚、ホワイトハウス高官の顔ぶれがほぼ明らかになった。

 未成年少女買春容疑や「ロシアのスパイ」容疑疑惑など札付き閣僚もおり、米主要メディアは上院での人事承認審議の行方に重大関心を示している。

 ネットメディア「AXIOS」のザカリー・バス氏は、このトランプ第2期政権を「西欧先進民主義国型の連合政権」に類似していると分析している。

「イデオロギーで一致した人材を集めたわけではなく、主義・主張もバラバラなものを自分に対する忠誠心だけで集めた危うい政権だ」

「だから個々の政策決定になると意見が合わず、混乱する内閣になるだろう」

 同氏によれば、次期政権の主要官僚、ホワイトハウス高官は以下の3つの派(閥)に分かれる。

一、「アメリカ第一主義」のナショナリスト

 マット・ゲーツ司法長官(11月21日に指名候補を辞退)、ピート・ヘジセス国防長官、トム・ホマン国土安全長官、ステファン・ミラー大統領次席補佐官

二、エスタブリッシュメント保守主義者

 マルコ・ルビオ国務長官、マイケル・ウォルツ大統領国家安全保障担当補佐官、テルシ・ギャバード国家情報長官、エリース・ステファニック国連大使

三、民主党反乱分子

 イーロン・マスク「政府効率化省」長官、ロバート・ケネディ・ジュニア保健福祉長官

Populists and billionaires collide in Trump's messy coalition

 当初はおそらく“トランプ王”のご聖断で政策は決まるだろうが、中長期になると、どうなるか。

 そうした中で外交国防政策は別にして、「トランプ革命」の最大のアジェンダは、5000億ドル(約78兆円)の連邦政府歳出の削減を目指す政府効率化。

 これを億万長者のマスク氏に任せる。

 もう一つの重要アジェンダは保健福祉政策の抜本改革だ。これをケネディ・ジュニア氏に任せる。

 前述の派(閥)で言えば、ともに「民主党反乱分子」だ。

 トランプ共和党政権は重要課題の解決を2人の「外様」に任せるという大胆な決断をしたことになる。

 上下両院の多数派を勝ち取った共和党が閣僚人事をブロックするとは思えない。

 だが民主、共和両党議員の中にも医薬品企業や食品業界とは持ちつ持たれつの関係にある者はいる。

 ケネディ・ジュニア氏の推進する改革に横やりを入れる議員が出てくる可能性大だ。