慎重に行いたいローン選び、金融機関によって異なる金利設定
100年ローンほどではないが、そんなリスクもある50年ローンは利用しないのが一番だが、35年ローンでは買えない物件も購入可能になるならば、背に腹は代えられない。
やむなく50年ローンを利用する場合、前述したようにせっせと繰り上げ返済して残高を減らしていくことが大切だ。同時に、少しでも資産価値が高まりそうなエリア、資産価値が下がりにくそうなエリアに買っておくことも重要となる。
せっかく50年返済で買うのだから、借り入れ可能額が増える分、少し高めでも資産価値の向上が期待できそうな都心やその周辺などの物件を取得したい。難しい場合には、郊外でもターミナル駅など将来性のありそうなエリアの駅前、駅近物件を手に入れたいところだ。
同時にローン選びは慎重に行いたい。50年ローンの場合、35年返済に比べると金利が若干高くなる金融機関が多い。先駆けとなったフラット50は、フラット35に比べると0.1ポイント高くなっているほか、民間では0.15~0.30ポイント程度高いところが少なくない。
例えば、千葉県を地盤とする京葉銀行では、変動金利型の場合、35年に比べて50年ローンは0.13ポイントの上乗せ、住信SBIネット銀行は0.15%の上乗せとなっている。金融機関によって最優遇金利や50年返済の上乗せ率などが異なっているので、利用に当たっては、十分な比較検討が必要だ。
【山下和之(やました・かずゆき)】
住宅ジャーナリスト。住宅・不動産分野で新聞・雑誌・単行本などの取材、原稿制作、各種講演、メディア出演などを行う。『住宅ローン相談ハンドブック』(近代セールス社)、『はじめてのマンション購入絶対成功させる完全ガイド2022─2023』(講談社ムック)などの著書がある。