シューズの進化に合わせていきたい

 東京五輪とパリ五輪では三浦は別のスパイクを着用している。最初の五輪は前足部にエアが搭載されている『ビクトリー』というモデルだ。しかし、数年前から長距離用スパイクの『ドラゴンフライ』に履き替えている。

「ビクトリーはストライドが大きくなって、腰高になるイメージがあるんでけど、脚へのダメージが大きいと感じていたんです。連戦(世界大会は予選・決勝がある)を考慮してドラゴンフラインに切り替えてみると、自分の足にもフィットしてきたので、いまはドラゴンフライを履いています」

 三浦は自分の状態を考えながらスパイクを選んでいるようだ。それは普段のトレーニングや駅伝でも変わらない。一方でシューズの進化に対応していくことも大切にしている。

「ロングランはダメージを少なくするために厚めのモデルを履きますが、逆に不整地のクロカンは薄底で足の感覚が行き届くような『ペガサス  41』や『ペガサス プラス』を着用しています。駅伝はこれまで『ヴェイパーフライ 2』を履いてきたんですけど、新しいモデル(『ヴェイパーフライ 3』や『アルファフライ 3』)も出ています。シューズの進歩に合わせていけるように、うまく調整して、使いこなしていきたいと思っています」

 3000m障害は来年春まで出場する予定はなく、今冬は5000mで記録を狙うプランを持っている。エントリーしていた八王子ロングディスタンス(11月23日)の5000mは「実施中止」となったが、三浦は「3000m障害につなげるためにも日本記録(13分08秒40)近くを出したい」と考えている。

 それから来年の元日にはニューイヤー駅伝(全日本実業団駅伝)がある。4年連続で出場した箱根駅伝は3000m障害に直接的につながるような距離ではなかったが、ニューイヤー駅伝は1区(12.3km)のようなスピード区間もある。三浦の持ち味を生かせる駅伝といえるだろう。

 SUBARUは前回14位ながら、2022年は2位、2023年は7位に入っているチーム。群馬県太田市が拠点で、オリンピアンの“地元デビュー”は大注目となるだろう。

 そして来年9月に開催される東京世界陸上で三浦は「メダル」という大きな目標を目指していく。

「タイムでいえば8分05秒はいけるかなと思いますし、メダルを目指すためには必要な最低ラインだと思っています。パリ五輪のように粘り強くついていき、プラスして集団から抜け出して、メダル獲得に現実味があるレースをしたい。ひとりの選手として会場の雰囲気をガラッと変えられるようなインパクトを与えられる選手になりたいと思います」

 6万人の大観衆で埋まった国立競技場。日本のRyuji Miuraが晩夏の夜に熱狂をもたらしてくれるだろう。