単独練習で“ラスト”を磨いてきた

 3月に順大を卒業して、社会人になった三浦。実業団に進む選手は新たな所属先で練習するのが一般的だが、別の方法を選択した。環境面が変わることでのリスクを考えて、五輪イヤーとなった今季は母校を練習拠点にパリでの戦いを見つめてきたのだ。

「トラック練習は順大グラウンドを継続して利用させていただいていますし、ジョグは自宅周辺に公園もあるので、そういったところを使いながらやっています。ポイント練習は順大・長門俊介駅伝監督が引き続き考えてくださったので、それ以外の練習は自分で調整をしながらやってきました」

 驚かされたのが、三浦は日々の練習を基本、単独でやってきたことだ。ジョグだけでなく、ハイレベルのポイント練習もひとりで追い込んできた。

「誰かがいれば勝負勘が高まるような練習もできますし、同じ強度の練習でもちょっと楽な気持ちでこなせます。そういった人がいてくれればうれしいなと思いつつ、今季はひとりでもある程度やり切れたかなと思います」

 なかでも重点的に強化してきたのが“ラストスパート”だ。ポイント練習後に障害物を設置したトラックで400mや600mをほぼ全力で走るというメニューを取り入れてきた。

「ハードリングを意識したスパート練習です。乳酸が溜まってきて、脚だけでなく、上半身もパンパンで動きが制限されるようななかでやってきました。かなりきついです(笑)」

 様々なパターンをシミュレーションしながら、三浦は過酷なスパート練習を自分に課してきた。だからこそ、パリ五輪でのラスト勝負に“もどかしさ”を感じているだけでなく、世界大会のメダルに近づいている感覚があるのだ。