石破首相は「フレンドリーさに騙されるな」

 石破茂首相は11月7月午前(米東部時間6日午後)、当選祝いを兼ねてトランプ大統領に電話し5分間話をした。

 通訳時間を差し引けば3分半足らず。日米同盟のさらなる強化で合意したという。

 石破氏は、トランプ氏については、「ひと言でいえば、フレンドリーな感じで、言葉を飾ったり、繕ったりするのではなく、本音で話ができる人といった印象を受けた」と記者団に語った。

 安倍首相が当選したばかりのトランプ氏を電撃訪問した際、同席していた杉山晋輔駐米大使(当時)も初対面のトランプ氏の印象について、「チャーミングで話を逸らせない、包み込むような温かさを感じた」と述べている。

 むろん、お二人のコメントは外交辞令半分なのだろうが、今回の選挙キャンペーン中、ハリス氏を「馬鹿」「のろま」呼ばわり、罵詈雑言を繰り返していたトランプ氏とは大違いだ。

 敵味方のはっきりした人間だ。

 日米首脳会談の場で、トランプ氏が防衛分担金や通商問題で「米国第一主義」を前面に押し出す際には、その「本音」で迫ってくるに違いない。

 就任式前に次期大統領に外国の首脳が会うことは、かつては外交儀礼上、タブーだった。

 それをぶち壊したのは、石破氏の「天敵」だった安倍氏だ。

 その安倍氏が率いていた安倍派議員たちを裏金問題で駆逐したのも石波氏。少なくとも安倍氏は自らの政権リスクを賭けて決断し、トランプ氏との特別な関係を築き上げた。

 その前例のお陰で、今月の南米歴訪の帰路、米国に立ち寄り、トランプ氏と会談することを模索しているという。

 当選したトランプ氏はすでに国家機密情報へのアクセス権を入手している。

 国務長官候補のハガティ氏は、今も外交機関を通じて対日情報を得ているという。当然、石破政権の短命説なども入っているに違いない。

 型破りのトランプ氏へのアプローチは最初が肝心だ。