宗教法人の圧倒的「税制優遇」

 しかし、なぜそれほど、寺院が魅力的なのか。それは、多くの税制優遇があるからだ。

 宗教法人は、宗教活動のみを営み、布施のみを収入とする場合は非課税である。一般企業のように法人税が課されることはない。

 一方で、寺院の中には一般企業と同じような商売をしているケースがある。多いのがお土産の販売や、境内地を利用した駐車場貸しなどだ。国税庁は宗教法人の収益事業として次の34種類の事業を挙げ、収益をあげれば課税対象としている。

①物品販売業 ②不動産販売業 ③金銭貸付業 ④物品貸付業 ⑤不動産貸付業 ⑥製造業⑦通信業、放送業 ⑧運送業、運送取扱業 ⑨倉庫業 ⑩請負業 ⑪印刷業 ⑫出版業 ⑬写真業 ⑭席貸業 ⑮旅館業 ⑯料理店業その他飲食店業 ⑰周旋業 ⑱代理業 ⑲仲立業 ⑳問屋業 ㉑鉱業 ㉒土石採取業 ㉓浴場業 ㉔理容業 ㉕美容業 ㉖興行業 ㉗遊技所業 ㉘遊覧所業 ㉙医療保健業 ㉚技芸教授業 ㉛駐車場業 ㉜信用保証業 ㉝無体財産権の提供業 ㉞労働者派遣業

 だが、これらの収益事業にも税制上の優遇措置が設けられている。宗教法人は税法上の「公益法人等」(他にも公益社団法人、社会福祉法人、学校法人などがこれに該当する)。民間企業が同じ事業をするのに比べて税率が低い。たとえば法人税の軽減税率がある。収益事業から得た所得に対し、宗教法人の法人税率は19%。一般的な株式会社の法人税率は23.2%である。また、領収書への印紙税や登録免許税などが非課税だ。

 最もメリットが大きいのは、宗教法人は固定資産税や相続税が免除されていることだ。宗教法人に固定資産税が免除されているのは、仮に課税してしまえば、多くの寺院があっという間に破綻してしまうからである。