就業者数が増えたら、労働力不足は解決する?

 足元の状況を見る限り、人口は減っているのに、就業者数が増えている。一見すると奇妙に映るが、そこには理由がある。

 図表2は、過去10年の就業者数を男女別で示したものだ。折れ線にほとんど動きがないことからもわかるように、男性の就業者数は3700万人前後で安定的に推移してきた。その一方で2014年に2700万人ほどだった女性の就業者数は、2023年には3000万人を超えるまで増加してきた。

 共働き夫婦の増加や出産・育児支援の充実により、結婚や出産が増える年代で就業者数が減る、いわゆる「M字カーブ」は解消に向かっていると言われる。女性の就業者数の増加は、M字カーブ解消の効果が顕著にあらわれたものと言えるだろう。

出所:総務省「労働力調査」よりパーソル総合研究所作成
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 また、この10年間に就業者数を増やしたのは女性だけでなく、65歳以上のシニアも同様だ。図表3をもとに、シニアについても直近10年間の推移を見てみると、2014年に700万人に満たなかったシニア就業者数は、2023年に900万人を超えるまで増加している。

 一般的に労働力としては15歳から64歳の生産年齢人口が念頭に置かれるケースが多いが、それより上のシニア世代で着実に就労者数が増えている。

出所:総務省「労働力調査」よりパーソル総合研究所作成
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 さらに、女性やシニアだけでなく、外国人の就業者も着実に増加している。つまり、人口減少のなかでも、就業者数は増え続けているわけだ。

 しかし、それでもなお、労働力不足が一層深刻になっているように感じられるのは、なぜだろうか。