知財部門と営業部門の相乗効果を実現

③ 横展開を進める営業のサポート部隊

「Lumada」で行われた事業の事例は、知財部門も参画して再活用可能な形に整理されていると先に述べた。営業部門は、知財部門のサポートを得ながら顧客との活動を進めるが、同社にはデジタルエンジニアリングの面からサポートする部隊も存在している。

「Lumada Business Studio」と呼ばれる部門で、所属するコンサルタント約100名が全ての案件の情報を共有し、提案の組み立て方から実際に提案した事例までを把握しているのだ。同部門では毎週朝会を行うことで、組織としてのノウハウを可視化し共有している。

 知財部門が参画しているDX契約支援委員会には、営業部門の担当者かエンジニアリングの部門から、顧客のデータが集まってくる。具体的には知財整理表というフォーマットで、顧客から取得したデータ、学習済みモデルについて経緯が整理され、プログラム、データ、ノウハウのカテゴリー別に、提供物や施した処理の内容、処理の結果から生じる成果が細かくまとめられている。

 このように、それぞれのやり取りの経緯をもれなく社内で整理・活用する体制を整え、同社のマスカスタマイゼーションは実現している。

売上目標を捨てよう』(青嶋 稔、インターナショナル新書)