同社は20年に米国で航空運送事業許可を取得し、22年にカリフォルニア州ロックフォードとテキサス州カレッジステーションでドローン(無人機)配送を開始した。23年にはAmazon Pharmacyと連携し、処方薬の配達をカレッジステーションで始めた。注文を受けてから、60分以内に顧客宅の庭に届けるというもので、追加料金はかからない。有料プログラム「Prime(プライム)」の会員以外にも提供している。
24年6月には、米連邦航空局(FAA)から、オペレーターの目視範囲を超えて飛行する「目視外飛行」(BVLOS:Beyond Visual Line of Sight)の許可を得た。これにより、航続距離が伸び、より多くの顧客にサービスを提供できるようになった。
アマゾンのヘルスケア事業
アマゾンのオンライン薬局事業は、ヘルスケア業界に進出するための同社の長年にわたる取り組みの1つだ。
同社は22年7月、米国でサブスクリプション(定額課金)型の診療サービスを手がけるワン・メディカル(One Medical)を、総額約39億ドル(当時の為替レートで約5300億円)で買収すると発表し、その買収手続きを23年2月に完了。23年11月にPrime会員向けのOne Medicalサービスを始めた。
23年8月には、オンライン診療のマーケットプレイス「Amazon Clinic(アマゾン・クリニック)」を米50州と首都ワシントンに拡大した。これは、医療機関と患者をつなぐオンラインプラットフォームだ。患者は、アレルギーや結膜炎、尿路感染症といった約30の一般的な疾患について、テキストチャットやビデオ通話を通じて診察を受けられる。