(写真:アマゾンサイトのスクリーンショット)

 米アマゾン・ドット・コムが先ごろ発表した大型買収を巡り、米連邦取引委員会(FTC)が初期の調査を開始したと、米政治専門サイトのポリティコなどが9月2日に報じた。米国の反トラスト法(独占禁止法)に違反しないかどうかを判断するという。

 アマゾンは2022年8月初旬、家庭用ロボット掃除機「ルンバ(Roomba)」を手がける米アイロボット(iRobot)を買収することで最終合意したと明らかにした。今後、アイロボットの株主や規制当局の承認を経て買収手続きを完了させる予定だ。

 だが、ポリティコによると、FTCが今後必要と判断すれば、正式な徹底調査に発展する可能性がある。現時点でもFTCの調査は広範に及んでいるという。例えば、これまでのアマゾンとアイロボットの2社間の市場競争状況、そして、買収後にアマゾンにもたらされる競争上の優位性。スマート家電市場だけでなく、小売り市場全般で、アマゾンのシェアを不当に押し上げることがないか、といった点に焦点を当てるという。

アイロボット、累計販売台数4000万台

 アイロボットは米マサチューセッツ州ベッドフォードに本社を置く企業。ルンバを生み出したコリン・アングルCEO(最高経営責任者)がマサチューセッツ工科大学(MIT)の人工知能(AI)研究所の同僚らと共同で1990年に設立した。同社がルンバの初代機を発売したのは2002年だった。20年後の22年2月には家庭用ロボットの累計販売台数が世界で4000万台を突破した。

 一方、アマゾンは、これまで音声認識AI「Alexa(アレクサ)」を中心としたスマート家電を手がけている。21年9月に同社初の家庭用小型ロボット「Astro(アストロ)」を発表し、現在、これを招待制で販売している。だが、ポリティコによると、価格が約1000ドル(約14万円)と高額なハイエンドロボットは、あまり米国消費者の関心を集めていない。

 アマゾンはこのほか、家庭内を飛行して家の安全を見守るセキュリティードローン「Ring Always Home Cam」やスマートサーモスタット(室温調整機)「Amazon Smart Thermostat」、スマートセキュリティーカメラ「Blink Video Doorbell」なども手がけている。同社はこうした製品ラインアップに、世界で知名度を持つルンバを取り込むことで、AIやIoT(Internet of Things)を活用した家電部門を強化したい考えだ。  FTCは、こうして増え続けるアマゾンのスマート家電群に、今回の買収がどのように影響を及ぼすかを調べているという。