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 最近の音楽業界で注目を集めるのは、米ビルボードのヒットチャートにランクインしたYOASOBI、Creepy Nutsなど、グローバルで成功するアーティストたち。ネット時代、SNS時代のマーケティングは従来からどう進化しているのか? 本連載では『令和ヒットの方程式』(博報堂DYグループコンテンツビジネスラボ/祥伝社)から内容の一部を抜粋・再編集し、ヒットコンテンツが生まれる時代背景やメカニズムを解説する。

 第1回はSpotify、Apple Musicなど音楽ストリーミングサービスの「プレイリスト」がコンテンツ消費に与える影響を探る。

20年代前半/音楽ストリーミングサービスのプレイリストを攻略する

令和ヒットの方程式』(祥伝社)

■〈デバイス〉音楽ストリーミングサービス

 Spotify は、スウェーデンの企業によって2008年にスタートした音楽ストリーミングサービスである。当時、世界の音楽業界は、違法楽曲データによって、セールスが減少していた。

 その問題を解決し、「アーティストに正当な利益を還元するサービスを作る」という志でできたサービスがSpotifyだ。2011年にはアメリカにも進出し、今では世界規模で利用者を増やし続けている。

 Spotify が登場したのちに、Google(2011年にGoogle Play Music、2020年にYouTube Music に統合)やApple(2015年にApple Music)、 Amazon (2019年にAmazon Music HD)といったIT大手企業が続けて定額制の音楽ストリーミングサービスを開始した。これにより同市場は急速に成長する。

 音楽ストリーミングサービスによって、生活者が聴取できる楽曲数は爆発的に増加した。そうして徐々にユーザー数を増やし、2022年の国内の音楽配信の売上は1000億円を超える。2023年の「コンテンツファン消費行動調査」では、音楽利用者のうち58.5%が、有料無料を合わせた音楽ストリーミングサービスを利用しているという結果が出ている。