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 今日の株式会社の原型とされる「英国東インド会社」が設立されて400年あまり。地球レベルでの気候変動や人権問題、続発する紛争など、世界が大きく揺れ動く現代において、株式会社は社会とどう向き合っていくべきなのか。本連載では『会社と株主の世界史 ビジネス判断力を磨く「超・会社法」講義』(中島茂著/日経BP 日本経済新聞出版)から、内容の一部を抜粋・再編集。「株式」を巡る歴史をひもときながら、これからの株式会社の在り方や課題を考える。

 今回は、近年増加傾向にある株主提案に注目。特に多く扱われるテーマや厳しすぎる提案のプロセスなどを通じて、今、株主総会に起きている「異変」の正体に迫る。

「株主提案」が増えている! それはなぜか

会社と株主の世界史』(日経BP 日本経済新聞出版)

(1)増加を続ける、株主提案

 その「淡々とした」株主総会に、いま「異変」が起きています。

 株主提案が年々、増加しているのです。次ページの図表7-1をみてください(「株主総会白書2024」により整理。数字はそれぞれ前年7月~当年6月まで)。

 提案されている内容で最も多いのは、「社外取締役を過半数にすることを定款に定める」「取締役会議長は社外取締役とすることを定款で定める」など、コーポレート・ガバナンスに関するものです。次いで多いのが「温暖化ガス排出削減に配慮した経営を行うことを定款に定める」など、気候変動対策に関するものです。

 なかでも、2020年にある金融グループに対して環境団体から提出された、「パリ協定に従った投資を行うことを定款に定める」という株主提案が「34%」の賛成票を集めたことは大きな話題となりました。