高い成果を収め、多くのメディアで取り上げられる組織であっても、年月が経ち環境が変化すると機能不全を起こし、衰退することも少なくない。機能していた組織がなぜ機能不全を起こすのか、そうした組織はどうすれば変革・再建できるかについて、立命館大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)の水野由香里教授は、その著書『組織盛衰の論理」で論じている。組織はなぜ変われないのか、組織盛衰の論理から考える変革できる組織について、水野氏が講演で語った骨子についてお届けする。

※本稿は、Japan Innovation Review主催の「第22回 DXフォーラム」における「基調講演:DXを実現するための組織、企業変革を実現する組織とは?/水野由香里氏」(2024年9月に配信)をもとに制作しています。

組織盛衰の論理から考える組織を変える方法

『組織盛衰の論理』の執筆のきっかけとして、1960年頃から1980年代後半まで、日本的経営の素晴らしさが国内外で取り上げられていたにもかかわらず、実務家からは1990年後半あたり、研究者からは2000年前後から「日本企業の経営は駄目になった」と指摘され始めたことがあります。

 マスコミに一時、華々しく登場していた企業が、その後に勢いが衰え、誰も注目しなくなったという例も散見されました。そこで、「生き物としての組織」「組織の栄枯盛衰」について研究し、まとめたいと思い、本書を執筆するに至りました。

「環境は刻々と変化し、企業には変革が求められる。頭では分かっているものの、なかなか組織変革を実現することが難しい」、このように感じている経営者も多いのではないでしょうか。

 組織はなぜ変われないのか。どうすれば組織を変えられるのか。『組織盛衰の論理』に基づき解説したいと思います。