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 この1、2年で世間の認知が急速に高まり、ビジネスでの活用も進みつつある生成AI。数年前から議論になっていた「AIは人間の仕事を奪うのか」という懸念がついに現実になり始めたともいえる。本稿では、『生成AI・30の論点 2025-2026』(城田真琴著/日経BP 日本経済新聞出版)から、内容の一部を抜粋・再編集。前述の懸念への回答と合わせて、生成AI活用によって変貌しつつあるビジネスの在り方から、環境問題への影響まで、多角的な視点で解説していく。

 数年前の「メタバース」でも注目を集めたバーチャル空間での新たなコミュニケーションツール「アバター」。生成AIの活用で、さらにどこまで進化しているのか?

AIアバターのビジネス活用は進むか

生成AI・30の論点 2025-2026』(日本経済新聞出版)

 AIアバターは、AIを活用して人間の姿や声を模倣し、さまざまなタスクを代行するデジタルキャラクターである。これらは、コンピュータグラフィックスで作られた視覚的な表現と自然言語処理技術を組み合わせることで、人間らしい対話や表現を可能にしている。

 近年、AI技術の進化によってアバターの外見や動作がよりリアルになり、対話の精度も劇的に向上している。これにより、顧客対応、営業支援、さらにはエンターテインメント分野まで、AIアバターの利用領域が拡大している。

■ AIアバターの技術要素

 AIアバターの核となる技術は、以下の通りである。

  • 画像生成AI:CGやディープラーニングを用いた画像生成技術により、リアルな人物の外見を作り出す
  • 音声合成技術:自然な発話を生成する
  • 自然言語処理:ユーザーの入力を理解し、適切な応答を生成する
  • モーション生成:自然な動きや表情を作り出す

 これらの技術を組み合わせることで、AIアバターは人間らしい振る舞いを実現し、さまざまな場面で活用されている。

 近年の生成AI技術の著しい進化によって、従来のシナリオベースの対話モデルから、より柔軟で自然な会話が可能になっている。中でも自然言語処理技術の向上がAIアバターの実用性を一層高めており、リアルタイムでユーザーとのインタラクションを行うことができるようになっている。