Prime Airドローン(写真:AP/アフロ)

 米アマゾン・ドット・コムはこのほど、米国の一部地域で処方薬のドローン配達を始めたと明らかにした。注文を受けてから、60分以内に顧客宅の庭に届ける。追加費用はかからず、有料プログラム「Prime(プライム)」会員以外でも利用できる。

アマゾン「薬局の顧客体験変える」

 まず、南部テキサス州カレッジステーションで始めたが、今後段階的に対象地域を広げる考えだ。同社のオンライン薬局「Amazon Pharmacy(アマゾン・ファーマシー)」で注文を受けると、薬剤師が薬をドローンに積み込む。インフルエンザやぜんそく、肺炎など一般的な病状に対応する500種類以上の薬を用意しているという。

 アマゾン・ファーマシー担当バイスプレジデントのジョン・ラブ氏は、「何十年もの間、薬局での顧客体験は変わっていない」と指摘する。「営業時間の限られた薬局に車で行き、列に並んで、自分の健康状態について公の場で会話をするか、従来の通販配達で5~10日間待たなければならない」(同氏)。30~50%の米国人は不便さと高額な代金を理由に薬の服用を控えており、こうした状況を改善したいという。

 ドローンは40~120メートルの上空を飛行する。障害物検知回避技術を備えており、センサーとカメラを使用して、人や動物、送電線などを回避する。カメラで捉えた映像は、物体を識別するよう訓練されたニューラルネットワーク(NN)に送られる。

 ドローンが顧客宅の庭に到着すると、地上から突き出ている構造物や人や動物などの物体を検知し、降下経路を妨げていないかを確認する。安全であることが確認できると、配達マーカーの上の約4メートルまでゆっくり降下して、荷物を投下する。配送が完了すると再び高度を上げ、配送センターに戻る。顧客は事前にドローン配達サービスに登録し、荷物の落下地点などの調査を受ける必要がある。

 アマゾンは、ドローン配送サービスを提供するため、米連邦航空局(FAA)の航空運送業者の認可を取得した。テキサス州カレッジステーションでは22年12月以降、数百点の日用品を配達した実績があるという。

 アマゾンは13年から「Prime Air(プライム・エアー)」と呼ぶ、ドローンを使った配送システムを研究・開発している。Prime Airの製品およびプログラム管理ディレクターであるカルシー・ヘンドリックソン氏は、「ドローンは道路の上を飛行するため、顧客の荷物が道路上で過ごすかもしれない余計な時間を排除できる。それがドローン配達の魅力だ。薬はドローン配達で最もニーズの高い商品だった」と述べた。