アマゾンが、医療サービス「Amazon Care(アマゾン・ケア)」を年内で終了すると、米ウォール・ストリート・ジャーナルや米CNBCなどが8月24日に報じた。
「顧客ニーズを満たせなかった」
同社ヘルスサービス部門トップのニール・リンジー氏が2022年8月24日付の社内電子メールで従業員に告げたという。22年12月31日をもって同サービスを終了する。リンジー氏は電子メールで「この決定は簡単に下されたものではなく、何カ月にもわたる慎重な検討の末に明確になったものだ」と述べた。同氏はサービス終了の理由について、「当社がターゲットしている企業顧客のニーズを満たすことができなかった」とも説明した。
アマゾンは19年9月に同名の医療サービス部門を立ち上げ、20年2月にサービスを開始した。専用アプリを通じ、ビデオ通話とテキストチャットによるオンライン医療相談が可能で、必要に応じて訪問診療・看護も受けられる。処方薬の配達サービスも利用できるというサービスだ。
当初はアマゾンの社員と家族向けで、対象地域も同社本社のある米ワシントン州などの一部に限られていた。だが、その後規模を全米に広げ、他の企業にも提供を始めた。22年2月には米国で対面診療サービスの対象地域を20都市以上増やすと明らかにした。オンライン診療は現在、米50州で展開している。
アマゾン・ケアがこれまでに獲得した企業顧客には、米ホテル大手のヒルトン・ワールドワイド・ホールディングスや米半導体メーカーのシリコン・ラボラトリーズ、米人材派遣会社のトゥルーブルーなどがある。だが、急成長を目指したにもかかわらず、顧客基盤をうまく拡大できなかったとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。