(写真:アマゾンHPより)

 米アマゾン・ドット・コムが医療サービス「アマゾン・ケア(Amazon Care)」を提供する契約を複数企業と締結したと、米ウォール・ストリート・ジャーナル米CNBCが6月9日に報じた。

今夏に米50州へ、まもなく一部地域で対面サービス

 ウォール・ストリート・ジャーナルのヘルステックに関するオンラインイベントでババク・パービズ副社長が明らかにした。今夏にも契約企業を公表する予定だという。事業拡大のために新たに数千人を雇用するとしている。パービズ氏は「できるだけ早く対象地域を広げ、将来は地方でも提供する」と意気込みを示した。

 アマゾンは2019年9月、同名の医療サービス部門を立ち上げた。当初は実験プロジェクトという位置付けだったが、20年2月に本社のある米ワシントン州シアトルで社員と家族向けに本格サービスを始めた。専用アプリを通じ、ビデオ通話とテキストチャットによるオンライン医療相談が可能で、必要に応じて訪問診療・看護も受けられる。処方薬の配達サービスも利用できる。

 アマゾン・ケアはこれまでワシントン州全域で社員と家族向けに提供していた。21年3月には規模を全米に広げ、他の企業にも提供すると発表。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アマゾンはまもなく首都ワシントンやメリーランド州ボルチモアなどの都市でオンラインと対面のサービスを開始する。今夏には米50州でオンラインサービスを始める計画だ。

  アマゾンの医療関連事業については21年3月、米投資会社のバークシャー・ハザウェイ、米金融大手のJPモルガン・チェースと設立したベンチャー企業ヘイブン(Haven)が閉鎖されたと報じられた。ヘイブンは企業向け医療サービスの拡充を促進するものとして期待されていた。だが、ウォール・ストリート・ジャーナルの別の記事によると、事業は設立当初からデータの入手や、社員の高い離職率、曖昧な目標、予期せぬ競争といった問題を抱えていたという。

 その一方で、アマゾンはアマゾン・ケアの事業規模を着実に拡大。今では全米展開を目指せるまでになった。