(写真:ロイター/アフロ)

 電子商取引(EC)大手の米アマゾン・ドット・コムは11月17日、米国で処方薬をネット販売するサービス「アマゾン・ファーマシー」を開始した。ウェブサイトやアプリで注文を受けて、配達する。当初はハワイ州やイリノイ州などを除く45州で展開するが、順次サービスを拡大し、米国全土に広げていきたいようだ。

プライム会員に無料で配達

 利用者はネットで服用履歴や健康状態、アレルギーの有無などの情報を入力して登録する。その後、医師などから処方箋をアマゾンに送ってもらう。すると、アマゾンから通知が届く。支払い方法を選んで注文すると、数日で届くという。

 また、スマートフォンなどで注文履歴や服用薬の情報を確認できる。アマゾンには薬剤師が常駐しており、ネットや電話で相談することもできるとしている。

 アマゾンのプライム会員には翌々日までに無料で配達するほか、保険を使わずに購入する際は割引する。ジェネリック医薬品(後発薬)で最大8割引き、先発薬で最大4割引きになるとしている。

 このほか、プライム会員にはデジタルの割引カードを発行する。これを、米CVSヘルスや米ウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス、米ライト・エイドなど提携する米国内5万店の薬局店頭で提示すれば、同様の割引が受けられるという。

2年前に買収したオンライン薬局がベース

 新型コロナウイルスの感染拡大で外出控えが広がる中、ネットで処方薬を調達したいと考える人が増えており、アマゾンの新サービスはこうしたタイミングで始まったと、米ウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。

 アマゾンは2018年に米国のオンライン薬局企業ピルパック(PillPack)を約8億ドル(約830億円)で買収した。その後「ピルパック・バイ・アマゾン・ファーマシー(by Amazon Pharmacy)」のブランド名でサービスを展開していたが、これを拡大し、アマゾンのサイト内で展開する本格サービスを立ち上げた。