クラウドを利用し、電子カルテ情報を分析
米アマゾン・ドットコムは、医療分野に向けた新たな事業を開始するようだ。同社は患者の電子カルテなどの情報を分析し、そこから治療の向上の役立つ、重要なデータを抽出するソフトウエアを販売する。
米ウォールストリート・ジャーナルによると、これまで、米ワシントン州シアトルにあるフレッド・ハッチンソン癌研究センターが、アマゾンと協力し、ソフトウエアの試験やアルゴリズムのトレーニング作業を行ってきた。
この医療機関では、これまで約60人の職員が、がん患者50万人分の情報を分析し、データ抽出を行っていたが、今後はこうした作業の自動化が可能になり、コスト削減にもつながるという。
米国では、2008年時点で10%未満だった医療機関の電子カルテ化が、2015年には約84%に上昇した。これに伴い、データマイニング・サービスを利用した医療情報分析に対する需要が高まってきたという。
他のテクノロジー大手も続々参入
アマゾンの新たなソフトウエアは、同社のクラウドコンピューティング事業が手がけるものだ。この分野では、米IBMの「Watson Health」や、米ユナイテッドヘルス・グループの「Optum」といった競合事業があり、その市場規模は70億ドル(約8000億円)に上るという。
ここ最近は、米アップルも、患者の医療情報をiPhoneに転送するソフトウエアの開発に関して、米退役軍人省と協議している。米グーグルも関連会社のヘルスケア事業に大物を雇い入れるなど、医療分野に力を入れていると、ウォールストリート・ジャーナルは伝えている。