ワセダクロニクルと医療ガバナンス研究所による共同研究「製薬マネーと医師」が注目を集めている。

 過去2回の記事においては、医師支払いに関する製薬企業の情報公開体制(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53293)、さらに学会理事への支払い(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53317)について報告した。

 今回は製薬企業ごとの医師への支払いの特徴について分析したい。

売り上げに比例して医師支払総額も増える

 処方権を持つ医師をターゲットとした販促活動は製薬企業において重視されている領域である。その特徴を分析することで、全体の販促活動についても大まかな傾向を掴めると考えている。

 図1は、国内医薬品売り上げと医師への支払の総額の関係を評価したものである。内資製薬企業、外資製薬企業いずれにおいても、国内医薬品売り上げの上昇に伴い、医師支払い総額が直線的に上昇している。

 しかし、興味深いのは平均から外れた「外れ値」の存在である。

 平均より明らかに支払いが多かったのは、初回の記事でも取り上げた第一三共や大塚ホールディングス、一方で、平均よりも支払いが低かったのは武田薬品やアステラス製薬、グラクソ・スミスクライン(以下、GSK)であった。

 急激に変わりつつある外資製薬企業と医師との関係を説明するうえで象徴的なのが、GSKの存在である。