(写真:アマゾンHPより)

 米アマゾン・ドット・コムの会員向け年次大型セール「プライムデー(Prime Day)」が7月12日深夜に終了した。同社によれば、2日間でプライム会員は世界中で3億7500万個以上の商品を購入し、アマゾンが提供した割引額は計25億ドル(約3500億円)に達した。

アマゾン史上最高もEC成長鈍化

 初日の7月11日は、一日の販売額としてアマゾン史上最高を記録。2日間を通して出品業者の販売額は過去最高を更新し、これまでで「最大のプライムデーになった」(アマゾン)。

 一方、米アドビが推計した2日間の米国内プライムデー売上高は約127億ドル(約1兆7600億円)で、前年比6.1%増にとどまった。伸び率はかつて数十%を記録していたが、最近は物価高などの影響で縮小傾向にある。

 米調査会社のインサイダー・インテリジェンスの主席アナリストである、アンドリュー・リプスマン氏は「アマゾンが得意とする商品カテゴリーで買い控えが起こっており、全体としてアマゾンの電子商取引(EC)事業は成長が鈍化している」と指摘する。

アマゾン、23年は物品からサービス

 ただ、ロイター通信によると、23年のプライムデーでは、多くの会員が料理宅配や旅行・宿泊、ヘルスケアなどサービスの割引商品に飛びついた。アマゾンや同社と提携する企業が、これらをプライムデーの目玉商品として売り込んだからだ。

 「サービスや体験の販売は、まだ収益に大きな影響を及ぼすとは言えないかもしれないが、アマゾンは今後状況が変化することを期待しているようだ」と米ハンティントン・ナショナル銀行のデイビッド・クリンク氏は述べている。「アマゾンは物品の流通という既存のビジネスから価値を引き出し、バリューチェーンを上位に押し上げようとしている」(同氏)

 米小売り最大手ウォルマートも同様の戦略を取っている。ウォルマートは自社のサブスクリプション(定額課金)サービス「Walmart+」の会員に、提携する米パラマウント・グローバルの動画配信サービス「Paramount+」を提供している。