米アマゾン・ドット・コムは、ネット注文した商品を自宅への配送ではなく店頭で受け取る顧客に対し、10ドル(約1350円)を還元する。ロイター通信が5月8日に報じた。消費者需要が低迷する中、配送と返品にかかるコストを削減する狙いだという。
高騰する輸送費を削減
アマゾンは数日前から有料プログラム「Prime(プライム)」の米国会員に対し案内の電子メールを送った。1回の注文が25ドル(約3400円)以上の場合、商品を店頭で受け取ると10ドルを支払うと伝えた。対象の店舗は、同社傘下のスーパー、米Whole Foods Market(ホールフーズ・マーケット)や、直営の食品スーパー「Amazon Fresh」、提携する米百貨店大手Kohl’s(コールズ)などだ。
ニューヨーク州北部に拠点を置く物流コンサルタントのディーン・マシューバ氏もこの案内を受け取った顧客の1人だという。
マシューバ氏は「店頭受け取りの利用が増えることで、高騰する輸送費を抑えることができ、アマゾンにとってコスト削減の大きなチャンスになる」と述べている。
一方、返品の際は一部の顧客に対し1ドルを徴収するようになった。自宅近くにアマゾンの商品受取/返品拠点がある場合、宅配業者を利用して返品を行うとこの手数料がかかる。
EC需要一服で軌道修正
アマゾンは顧客基盤を拡大するため、これまで何年にもわたり、無料の配送・返品サービスを利用するよう促してきた。だが、新型コロナ下のEC需要が一服すると成長が鈍化し、軌道修正を余儀なくされた。それ以来さまざまな施策を講じている。