(写真:ロイター/アフロ)
米アマゾン・ドット・コムは1月10日、外部の小売業者がアマゾンの物流資源を活用し、商品を迅速に顧客に届けるサービスを米国で拡大すると発表した。
招待制廃止、一般の小売業者に拡大
アマゾンは2022年4月から「Buy with Prime(バイ・ウィズ・プライム)」と呼ぶ小売業者向けのサービスを、一部の業者を対象に招待制で提供してきた。23年1月31日までにこの招待制を廃止し、米国内の一般小売業者が利用できるようにする。
Buy with Primeでは、決済や商品保管、配送などの業務にアマゾンのシステムと物流資源を利用できる。小売業者は自社の電子商取引(EC)サイトの商品ページに「Buy with Prime(Primeで購入)」ボタンを設置する。アマゾンの有料プログラム「Prime」の会員はこのボタンを押せば、アマゾンのアカウントで決済できる。アマゾンサイトと同様にPrime特典の翌日配達や翌々日配達を送料なしで利用できるほか、返品の際に送料がかからない。
当初はアマゾンの倉庫に商品を預け、保管や梱包、出荷、配送業務などをアマゾンに委託する「フルフィルメント・バイ・アマゾン(FBA)」を利用する出品者に対象を絞っていたが、今後はアマゾンの出品者でなくても利用できるようになる。アマゾンはBuy with Primeを利用する業者に顧客の電子メールアドレスを含む注文情報を提供し、直接、顧客との関係構築に活用できるようにする。
同社は、Buy with Primeを導入した場合、導入しない場合に比べ注文顧客数が平均25%増加するというデータがあるとしている。また新たに、アマゾンサイトのカスタマーレビュー(評価)を、外部業者のECサイトに表示できる機能も提供する。「買い物客の信頼と注文件数を高めるのに役立つ」と同社は説明している。
成長鈍化でコスト削減、最大規模のリストラ
アマゾンは売上高の伸び鈍化に直面しており、経済の先行き不透明感が強まるなか、新たな収益源を探していると米CNBCは報じている。
アマゾンは、新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)に伴うECとクラウドサービスの需要増で事業を急拡大してきた。従業員数を2年間で2倍に増やし、発送センターや仕分けセンター、宅配ステーションなどの物流ネットワークも2年でほぼ2倍に拡大した。
だがその後、巣ごもり需要が一服し成長は鈍化した。同社の22年1~3月期決算は、売上高が前年同期比同7%増の1164億4400万ドル(約15兆3100億円)。1~3月期として過去最高を更新したものの、伸び率は過去10年間で最も低い水準となった。純損益は38億4400万ドル(約5100億円)の赤字で、15年1~3月期以来7年ぶりの最終赤字に転落した。続く22年4~6月期も20億2800万ドル(約2700億円)の赤字で、2四半期連続で最終赤字となった。
22年7~9月期は純利益が28億7200万ドル(約3800億円)となり、3四半期ぶりに黒字化したものの、22年に入ってから9月末までの赤字額は30億ドル(約3900億円)に上る。
こうした中、同社はコスト削減を進めている。アンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)は23年1月4日、事業計画の見直しに伴う人員削減の規模が1万8000人超になると明らかにした。米ウォール・ストリート・ジャーナルは、過去1年間に明らかになったテクノロジー大手のリストラとして最大規模だと報じた。
外部小売業者向け事業、全売上高の22%に
アマゾンはサードパーティーと呼ばれる外部小売業者が出品する「マーケットプレイス」事業を急拡大してきた。今やその流通取引総額(GMV)は同社ECサイト全体の半分以上を占めており、中核事業となっている。
アマゾンが22年7~9月期に外部小売業者から得た、FBAサービス料金や販売手数料などの合計は前年同期比18%増の286億6600万ドル(約3兆7700億円)で、同期間売上高全体の22.5%を占めた(アマゾンの決算資料)。






