(写真:AP/アフロ)

 米アマゾン・ドット・コムでは、アンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)指揮の下、コスト削減に向けた事業見直しが進められている。米ウォール・ストリート・ジャーナルなどが11月10日までに報じた

Alexa含むデバイス部門、年50億ドルの赤字

 不採算事業に焦点を当てており、数カ月にわたる評価の一環として、人工知能(AI)による音声アシスタントサービス「Alexa(アレクサ)」部門が入念に精査されている。この部門は1万人以上の従業員を抱え、アマゾンの投資予算の多くを受け取っている。ウォール・ストリート・ジャーナルが確認した内部資料によると、Alexaを含むデバイス部門は年50億ドル(約7000億円)以上の営業損失を出している。

 アマゾンは、Alexaへの新機能追加に注力するべきかどうかを検討している。機能追加には一層の投資が必要になるが、多くの顧客は一部の機能しか利用していないと、関係者は話している。

 また、アマゾンはこれ以外の不採算事業の従業員に対し、会社の別の部門で仕事を探すように指示した。それら従業員が現在働いている部門が事業停止または閉鎖されることが決まったからだという。

 アマゾンの広報担当者は、「当社の経営幹部チームは、年次事業計画の見直しの一環として、投資見通しと財務実績を定期的に精査している。現在のマクロ環境を考慮し、コストを最適化する機会を検討している」と説明した。

 2022年に入ってアマゾンの株価は約43%下落している。同社は主力小売事業の減速に直面する中、物流ネットワークにおけるコスト管理を強化している。

 他のテクノロジー大手もリセッション(景気後退)への懸念を背景にコスト削減の動きに出ている。SNS(交流サイト)「Facebook(フェイスブック)」などを運営する米メタは22年11月9日、全従業員の約13%に当たる1万1000人超を削減すると明らかにした。米起業家のイーロン・マスク氏が買収した米ツイッターは、全従業員約7500人の約半数を対象としたレイオフ(一時解雇)を実施した。

 米グーグルは年内の採用数を縮小する方針を明らかにしたほか、スタートアップ事業を構築するインキュベーター制度「エリア120」の規模を縮小した。スンダー・ピチャイCEOはテクノロジーカンファレンスに登壇し、「会社の生産性を20%向上させる方法を見つけ出す」と述べた。グーグルは19年から提供してきたビデオゲームのストリーミング配信サービス「Stadia」から撤退する。

アマゾン、パンデミック時と対照的な緊縮モード

 ここ最近のアマゾンの動きは、事業を急拡大させていた、新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)の時と対照的だとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。19年末から21年末までアマゾンは物流拠点を中心に約80万人を新規採用した。

 22年3月には米映画製作大手メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)の買収を完了した。22年7月には、診療サービスを手がける米ワン・メディカルを買収すると発表。22年8月には、家庭用ロボット掃除機「Roomba(ルンバ)」を手がける米アイロボットを買収することで最終合意した。22年9月には、物流施設内のロボットシステムなどを開発するベルギーのクロースターマンズの買収も明かした。これらの合計買収金額は140億ドル(約1兆9500億円)を超える。

 こうした中、アマゾンのジャシーCEOは、経費を削減し利益を追求することに注力している。22年8月には、医療サービス「Amazon Care(アマゾン・ケア)」を年内で終了すると発表。21年に発売したばかりの子供向けビデオ通話端末「Glow(グロウ)」の生産を打ち切ったほか、自律走行宅配ロボット「Scout(スカウト)」の試験運用を停止した。22年3月には、米国と英国で対面式書店「Amazon Books(アマゾン・ブックス)」を含む、計68店舗を閉鎖すると報じられた。加えて、アマゾンが少なくとも1000万平方フィート(約92万9000平方メートル、東京ドーム約20個分)の倉庫スペースをサブリース業者を通じて賃貸しするとも報じられた。

アマゾンの22年、9月末まで赤字30億ドル

 アマゾンの22年1~3月期の純損益は38億4400万ドル(約5400億円)の赤字だった。続く22年4~6月期も20億2800万ドル(約2800億円)の赤字。7~9月期は純利益が28億7200万ドル(約4000億円)となり、3四半期ぶりに黒字化した。だが、22年に入ってから9月末までの赤字額は30億ドル(約4200億円)に上る。

 これに対し、21年は330億ドル(約4兆6000億円)の黒字、20年は210億ドル(約2兆9300億円)の黒字だった。