(写真:Stanislav Kogiku/アフロ)
米アマゾン・ドット・コムのアンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)は1月4日、事業計画の見直しに伴う人員削減の規模が1万8000人超になると明らかにした。米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、この人数はアマゾン全従業員数の約1.2%、同社オフィス職従業員数の約5%に相当し、過去1年間に明らかになったテクノロジー大手のリストラとして最大規模だという。
主な対象は小売と人事部門
これに先立つ2022年11月14日、米ニューヨーク・タイムズはアマゾンが約1万人の従業員を削減する計画だと報じていた。ウォール・ストリート・ジャーナルは22年11月16日、オフィス職を対象にする大規模な人員削減に着手したと報じていた。
アマゾンのジャシーCEOは22年11月17日、進行中の年次事業計画の見直しプロセスを23年まで延長し、その過程で追加のリストラが発生すると説明していた。ジャシー氏は23年1月4日付で従業員らに送ったメッセージを公式ブログで公開した。この中で同氏は、追加リストラの主な対象は小売りや人事部門で、影響を受ける従業員には23年1月18日から通知を始めると明らかにした。
巣ごもり需要一服で成長鈍化
アマゾンは、新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)に伴う電子商取引(EC)とクラウドサービスの需要増で事業を急拡大してきた。従業員数を2年間で2倍に増やし、発送センターや仕分けセンター、宅配ステーションなどの物流ネットワークも2年でほぼ2倍に拡大した。
だがその後、巣ごもり需要が一服し成長は鈍化した。同社の22年1~3月期決算は、売上高が前年同期比同7%増の1164億4400万ドル(約15兆4300億円)。1~3月期として過去最高を更新したものの、伸び率は過去10年間で最も低い水準となった。純損益は38億4400万ドル(約5100億円)の赤字で、15年1~3月期以来7年ぶりの最終赤字に転落した。続く22年4~6月期も20億2800万ドル(約2700億円)の赤字で、2四半期連続で最終赤字となった。
22年7~9月期は純利益が28億7200万ドル(約3800億円)となり、3四半期ぶりに黒字化したものの、22年に入ってから9月末までの赤字額は30億ドル(約4200億円)に上る。
アマゾンでは、ジャシー氏指揮の下、コスト削減に向けた事業見直しを進めてきた。不採算事業に焦点を当てており、数カ月にわたる評価の一環として、人工知能(AI)による音声アシスタントサービス「Alexa(アレクサ)」部門が入念に精査されてきた。
アレクサを含むデバイス・サービス部門のデイブ・リンプ上級副社長は22年11月、従業員宛てのメッセージで、会社が一部のチームとプロジェクトの統合を決定したと告げ「一部の役割が不要になる」と説明した。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、すでに削減対象となったのはクラウドゲームサービス「Luna(ルナ)」や、Alexaのマーケティング、AI、プライバシー部門。家庭用ロボットなど先進ハードウエアの研究開発部門「Lab126」も対象になった。
22年春から夏にかけては、米国と英国で対面式の書店「Amazon Books(アマゾン・ブックス)」や、ECサイトで高評価の商品だけを集めた店舗「Amazon 4-star(アマゾン・4スター)」、ショッピングモール内の小規模店「Amazon Pop Up(アマゾン・ポップアップ)」を閉鎖した。同年には医療サービス「Amazon Care(アマゾン・ケア)」も終了した。同社は22年10月、主力の小売事業でオフィス職の採用を凍結すると明らかにしていたが、その後レイオフ(一時解雇)に踏みきった。
メタやストライプ、リフト、HPも人員削減
アマゾンは、新型コロナ禍の需要増に対応するため、人員採用と設備投資を積極的に進めてきた。しかし、その後成長が減速し、さまざまな資源・設備に余剰が生じた。こうした問題は、他の米テクノロジー大手も抱えると指摘されている。
SNS(交流サイト)を運営する米メタは22年11月、全従業員の約13%にあたる1万1000人超を削減すると明らかにした。2004年の創業以来初の大規模リストラである。同月には、オンライン決済大手の米ストライプやライドシェア大手の米リフトも人員削減を発表。パソコン大手の米HPも同月、25年までに全世界で4000~6000人の人員を削減すると明らかにした。顧客管理ソフト大手の米セールスフォースは23年1月4日、従業員の約1割を削減する計画を発表した(CNBC)。






