米アマゾン・ドット・コムが米国で超高速配達サービスを拡大していると、米ウォール・ストリート・ジャーナルが2月26日に報じた。他の分野では事業計画を縮小するなどコスト削減を図っている同社だが、主力の電子商取引(EC)分野では、物流網を拡大して顧客満足度向上に取り組んでいる。
「即日拠点」、人気商品10万点用意
アマゾンの高速配達戦略の中心となっているのは、同社が「即日拠点」と呼ぶ倉庫のネットワーク。その1施設あたりの大きさは、大規模なフルフィルメントセンター(発送センター)の数分の1程度。これとは別に通常の配送ではフルフィルメントセンターから商品を宅配ステーションに運び、そこから顧客宅に配達している。
カナダのサプライチェーン・物流コンサルティング会社、MWPVLインターナショナルによると、アマゾンは2019年にこの即日拠点を開設した。今では約45施設が稼働しているという。今後数年でその数を少なくとも150施設に増やす可能性があると、MWPVLインターナショナルは予測している。
これらの施設は主に大都市近くにあり、アマゾンのECサイトで人気のある約10万点の商品を常時置いている。即日配達が基本だが、中には数時間で届く場合もあるという。その対象となるのは同社の有料プログラム「Prime(プライム)」の会員だ。送料は1回の注文が25ドル(約3400円)以上の場合無料だが、それに満たない場合は2.99ドル(約410円)となる。
アマゾンは最近、ロサンゼルスやサンフランシスコ、フェニックスで新しい倉庫を開設したが、それらが即日拠点であるかどうかは明らかにしていない。
アマゾンの広報担当者は、「我々は常にお客様に新しい水準の利便性と、最適な配達オプションを提供する方法を模索している。 即日配達は当社の最新イノベーションの1つ」と述べ、このサービスを初めて体験する顧客が月に150万人以上いると説明した。
アナリストは、この迅速配達サービスがPrime会員のつなぎ留めに役立っていると分析している。アマゾンのブライアン・オルサブスキーCFO(最高財務責任者)も23年2月、「当社は迅速な配送サービスの拡大を目指しており、Prime会員の反応もよい」と述べていた。