米アマゾン・ドット・コムが米国に持つ一部の大規模倉庫では、商品パッケージの破損状態を確認するためにAI(人工知能)を活用している。従来は従業員が目視検査で不良品を判別していたが、AIによる自動化で倉庫業務の効率化を図っている。
画像認識ステーションで不良品を判別
米ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、アマゾンの従業員は、商品の棚入れや棚出し、梱包(こんぽう)の際に、パッケージの状態を目視で確認するよう求められている。箱や袋にへこみや破れ、こすれ痕がないかどうかを確認しているという。
だが、アマゾン・ロボティクスの応用科学ディレクターであるジェレミー・ワイアット氏によると、ほとんどの商品パッケージは良品であるため、破損があるものを見つけ出すには手間がかかる。従業員は極まれなものを探すことになるため、集中力も必要で、骨の折れる作業になるという。
米アマゾンによると、不良品比率は商品1000個あたり1個以下。だが年間80億個のパッケージを取り扱うアマゾンにとって、不良品の個数は単純計算で年約800万個にもなる。そこで同社は、これら不良パッケージの判別にAIを活用することにした。
アマゾンでは、棚出し・梱包段階の商品確認作業を自動化している。例えば、個別の注文ごとに集められた商品は、それらが正しいものかどうかを確認するため、画像認識ステーションと呼ばれる装置に運ばれる。具体的には、商品を専用カートに入れ、このカートを画像認識ステーションを通過させる。新たなシステムでは、この工程でパッケージの破損状態を確認する。不良と判断された場合、カートは従業員に渡され、より詳しく調べられる。何も問題がなければ、梱包され、顧客に発送される。