自民・公明の与党両党の財政スタンス

 マクロ経済政策のうち、金融政策については、先述の国民民主党と立憲民主党以外、公約の中で特に言及はない。

 一方、財政については、各党の公約に違いが目立つ。既に一部紹介した税制に加え、社会保障制度も含めて、各党の財政を巡る方針を整理する。

 まず、自民、公明の与党両党は、財政について公約では多くを掲げていない。政権与党の立場であるため具体策に踏み込んで選択肢を狭めたくない、あるいは別途対策を発表する機会を有する、といった事情があるとみられる。

 自民党は「経済あっての財政」「デフレ脱却最優先」を掲げており、やや拡張的な財政スタンスと言える。税制見直しについては、「経済成長を阻害しない安定的な税収基盤の構築の観点」から実施するとのことだ。

 すなわち、税制を見直すとしても税収中立的な変更にとどめそうだ。公明党は、税財政についてほとんど触れていない。

 社会保障については、人手不足に対応するための施策を中心に掲げており、現時点で抜本的な見直しを検討していないようだ。

 なお、公約にはないが、石破首相は10月15日に2024年度補正予算の規模を明言した。一般会計の歳出総額で昨年度の13兆円を上回る大きな規模とする方針だ。2024~25年度に補正予算が10兆円を上回る規模が続くようであれば、財政健全化目標である2025年度のPB黒字化は難しくなりそうだ。