1 はじめに
近年日本各地で線状降水帯が多発している。このため、集中豪雨に見舞われた地域では河川が急激に増水し、堤防の決壊で相次いで氾濫が起きて住宅地が浸水被害に遭っている。
決壊した河川の水が広域に広がった地域では迅速な対応が求められるが救助ボートによる接近等に限定され、水が引くまで諦めるしかないのが現状である。
特に、床上浸水を受けた家屋では大量の生活用品が水浸しとなりそのほとんどが使えなくなる。被災された方々のことを思うと気の毒で励ましの言葉もない。
このような日常生活上の必需品を突然喪失してしまう悲惨な状態を少しでも食い止める方法が実現すれば、今後同様の事態での苦痛を軽減できると思う。
そこで、本文ではこの難を軽減する一方法として家屋への浸水を応急的ではあるが簡便な方法で防ぐ愚案を考えてみたので提示したい。
2 一般的な日本家屋の現状
日本は海に囲まれた列島で構成され、その中央に山脈が南北に連なっている特性から、一般的に多湿である。
そのため、住居は伝統的に木造建築が多く、床下は外気の流通を良くして湿気を下げ、住み心地を良くするための工夫が施されている。
また、自然災害大国とも言われ、地震・台風が毎年繰り返し列島に襲来し、豪雨・豪雪にも悩まされて各地で大きな被害が発生している。
このため、家屋は地震・風雨・風雪に耐えられるよう各種の工夫が施され、日々の生活を守ってきた。
しかし、堤防の決壊等で家屋が浸水する場合の備えは手薄であり、今までの報道を見るとこの種水攻めの被害に対しては正直なところ、打つ手なしの状態になっていると筆者は思う。
図1:家屋浸水被害の概念図