4 本論で提示する家屋の防水対策

 ここで提示する方法は素人にも実行可能で、河川の堤防が決壊する恐れのある地域において豪雨が予想され、あるいは実際に豪雨が続いて河川の水位が上昇する初期段階に、家屋外側を巻くように防水シートを取り付けて応急的に浸水の阻止効果を上げようとするものである(図4)。

図4:防水シートで簡易的に浸水を防ぐ方法

 この図では、防水シートを展張した家屋の断面図を(誇張した青線で)描いている。

3 家屋周囲に防水シートを展張する方法

 防水シートを家屋に巻き付けることは緊急時の対応としては比較的容易な方法であると推察される。

 しかし、巻き付けたシートの隙間から漏水する心配があるのでそれを阻止するため、実施上の注意点について以下述べる。

 まず、過去の浸水例を振り返って見ると、ほとんどの場合、水位の上昇は1.5メートル以下のようである。そこで、ここでは1.5メートルの水深と仮定して対策を考える。

図5:防水シートを張る方法

壁から少し離して張る(左)と接して張る(右)方法

 防水シートは壁から少し離して張る方法と壁に接して張る方法がある。
本提案では壁面になるべく接して張る方法を考えている。

 一般的に家屋の軒下には冷房装置の室外機が置かれるほか、植木など雑多な物も置かれている。

 このため、防水シートはこれらを覆うように展張する必要がある。水没しても問題がなく移動可能な物品は防水シートで覆わなくてもいい。

 そこで、これらを包むように家の壁面に沿って展張する。

図6:植木や室外機を覆うようにシートを張る

 このようにすれば、シート展張の手間が少なく、室外機等への浸水も防げ、撤収も楽になる。

 次は防水シートに加わる水圧の検討である。

 防水シートで阻止する水深が150センチの浸水とした場合、深さと水圧の関係は図7に示すようになる。

図7:水位の高さと水圧

 底面の基礎部分に1平方センチ当たり150グラムもの圧力がかかることになり、防水シートの底面接触部では、10×10センチに15キログラムもの強い圧力となるため内側への浸水阻止には効果的である。