衆院選のポスター掲示板の準備が進む(写真:岩手日報/共同通信イメージズ)

石破首相が衆院を解散したことで、衆院選が「10月15日公示、10月27日投開票」という日程で行われることになりました。現在の衆院選は「小選挙区比例代表並立制」という制度をとり入れています。完璧な選挙制度というものは存在しませんが、小選挙区比例代表並立制の下では、小選挙区で敗北した候補者が「復活当選」する現象が繰り返されており、“ゾンビ復活”への疑問も少なくありません。では、小選挙区比例代表並立制とは、どのような仕組みなのでしょうか。実は小選挙区制が導入されてから今年はちょうど30年です。その歩みも含め、やさしく解説します。

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「小選挙区選挙」と「比例代表選挙」

 日本の国会は衆議院と参議院の2院制で、日本国憲法の定めにより衆議院が参議院よりも強い権限を持っています。予算の議決、条約の承認、そして内閣総理大臣の指名については、たとえ両院が異なる議決を下しても衆議院の議決が国会の議決となります。つまり衆議院は、誰を総理大臣にするかの権限を握っているわけです。これを「衆議院の優越」と言います。また、内閣の信任・不信任に関する議決権は衆議院にしかありません。

 日本の舵取りを誰に任せるか。最長で4年間の針路が決まるわけですから、衆議院選挙での投票をおろそかにするわけにはいきません。

図:フロントラインプレス作成
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 衆院選では、有権者は1人2票を持っています。1つは投票用紙に候補者名を書く「小選挙区選挙」、もう1つは政党名を書く「比例代表選挙」です。衆議院議員の定数は現在465人で、このうち289人は小選挙区で、176人は比例代表によって選出されます。小選挙区比例代表並立制とは、この小選挙区選挙と比例代表選挙という2つの選挙を同時に実施する制度を指します。

 では、それぞれの選挙の仕組みを見てみましょう。まずは小選挙区選挙です。