以下では、まず、設計、ファウンドリー、OSATの地域別の状況を見てみることにする。次に、米国および中国と日本の実態を比較する。その上で、ここ数年、半導体産業に注力することにしたベトナムの政策が、非常にバランスが良く、優れていることを示す。

 もちろん、ベトナムの国家政策が計画通り実現するかどうかは分からない。しかし、日本が半導体立国の目標を掲げるなら、ベトナムのようなバランスの取れた政策を立案するべきである。目標すらなければ、実現することもあり得ないからだ。

世界の地域別の設計技術者数の割合

 図2に、設計技術者数の地域割合を示す。エヌビディア(NVIDIA)、AMD、クアルコム(Qualcomm)、ブロードコム(Broadcom)などを擁し、ファブレス大国となった米国が32%を占めている。次いで、中国が28%、インドが19%となっており、中国とインドの合計が47%で、世界の設計技術者の約半分が、中国人とインド人であることが分かる。

図2 設計技術者数の地域割合
出所:Yoleのデータ
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 ところが、日本の設計技術者の比率は、わずか2%しかない。ここから、日本は、設計分野が非常に貧弱であることが分かる。これは、日本にファブレスが5社程度しかないということとも符合する。

 一方、世界の28%を占めている中国では、2022年時点で、何とファブレスが2810社もある(図3)。2015年に、半導体強化のための国家政策「中国製造2025」が制定されて以降、ファブレス社数は急激に増大しており、まだデータはないが2023年には3000社を超えていてもおかしくない。

図3 中国のファブレス社数
出所:Digitimes Asiaのデータ
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