米エヌビディア(NVIDIA)が、次世代GPU(画像処理半導体)「Blackwell(ブラックウェル)」で製造上の課題に直面していることが分かった。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。量産の遅延やコストの上昇につながる恐れがあるという。
サイズは現行Hopperの2倍、製造技術複雑に
エヌビディアが2024年11月~2025年1月の量産開始を目指している「Blackwell B200」は、現行のAI(人工知能)向けGPU「Hopper H100」と比べてサイズが約2倍の40mm四方になる。集積するトランジスタ数は2080億個である。だが、既に現行のHopperでチップ製造のサイズ限界に達していた。そこで同社は、最大サイズのチップを2つ組み合わせて1つのチップにするという、これまで行われていなかった手法に挑戦している。
しかし、これにはチップを接合するための技術の複雑さといった問題を克服する必要がある。各チップは、ほぼ完璧に製造しなければならず、いずれかに欠陥があると致命的な結果を招く恐れがある。部品が多くなるほど、そのリスクも高まる。さらに、これらの部品から発生する熱は、パッケージ内の異なる材料を異なる速度で変形させ、ひずみを生じさせるリスクがある。
「極小の回路が絡む一連の難題でありながら、収益に多大な影響を及ぼす可能性がある」とWSJは指摘する。重大な欠陥があれば、1個4万ドル(585万円)のBlackwellが使えなくなり、歩留まりの低下につながる。