Blackwell、24年11月にも量産開始

 Blackwellの生産体制については、一部報道で遅延が伝えられていた。だが同社は先の決算説明会で、24年5~7月期にサンプル出荷を始めたと明らかにした。CFO(最高財務責任者)のコレット・クレス氏は、「量産を25会計年度第4四半期(24年11月~25年1月)に開始し、同四半期の売上高に数十億ドル(数千億円)規模の貢献が見込まれる」と説明した。

 また、ジェンスン・ファンCEO(最高経営責任者)は、「Blackwellの歩留まりを向上させるために設計を変更したが、チップの機能的な変更は必要なかった」と説明し、懸念の払拭を図った。

材料在庫引当金の影響で粗利益率低下

 一方、スイス金融大手UBSのアナリストは、「エヌビディアがBlackwellで直面している主な問題は、同社製品の大部分を製造する台湾積体電路製造(TSMC)の新しいチップ接合技術の複雑さにある」と指摘した。

 サイズ拡大によって必要となった新しいアプローチでは、製造技術の複雑さや、信頼性と性能に影響を及ぼす変形などの新たな課題が生じたと、アナリストらは述べている。その一方で、「時間の経過とともに歩留まりが上昇することで、25年には計画通りチップを生産できるようになるはず」とも述べている。

 エヌビディアの25会計年度第2四半期(2024年5~7月)の売上高は前年同期から約2.2倍、純利益は約2.7倍となり、いずれも過去最高を更新した。

 だが、同四半期の売上高総利益率(粗利益率)は75.1%に低下した。前四半期は78.4%だった。Blackwellの材料在庫引当金(9億800万ドル、約1300億円)の影響があったとみられる。これらの要因により、同社株は決算発表翌日に6.4%下落した。