「未来の自分との連続性」を意識すれば未来は変わる

 将来の自分を今の自分と同じように感じられるならば、私たちは将来のために何かを準備したり、貯金をしたりしやすくなる。しかし、将来の自分を「他人」と感じてしまうと、今の生活に重きを置いてしまい、将来のための準備が疎かになることがある。

 たとえば、老後の資金を貯めずに散財してしまったり、若く健康な体に甘えて暴飲暴食してしまったり、といった具合だ。つまり将来のことを考えて行動するためには、将来の自分をどれだけ「今の自分」としてリアルに想像できるかが大切であり、それを示すための概念が「未来の自分との連続性」というわけである。

 また同じ論文では、この連続性を高めるために有効な手段として、将来の自分との「類似性」を感じること、将来の自分を「生き生きと想像」すること、将来の自分を「ポジティブに捉える」ことの3つを挙げている。

 実際に、バーチャルリアリティを使って自分が歳を取った姿を見ることで、将来に対するリアルな感覚が強まり、貯蓄行動が促進されたという実験結果も紹介されている。

 であれば、単に年老いた自分の姿を見るだけでなく、その自分と会話できればさらに連続性を高めることができるだろう。まさにそれをしたのが、MITの研究者らによる「Future You」である。

 そして、MITの研究者らは実際に400名の被験者を集め、Future Youを使ってもらうという実験を行った。