未来の自分と会話することで得られる「効果」

 被験者の一部に、生成された「未来の自分」と10~30分ほど会話してもらい、その他のグループ(Future Youではなく一般的な仮想アシスタントと会話させたグループ等)と比較してどのような影響が出るかを確認した。

 すると、Future Youと会話したグループでは、ネガティブな感情、特に不安感や無気力感が大幅に減少する効果が有意に見られた。

 また「未来の自分との連続性」についても、それを強く感じる被験者が増加した。具体的には、未来の自分との類似性や鮮明さ(どれだけはっきりと未来の自分を想像できるか)が他のグループと比較して有意に増加したそうである。

 さらに無気力感が低下しただけでなく、自分の目標に対して主体的に取り組む気持ちに向上が見られたそうだ。

 私たちは何らかの不安を感じると、どうしてもそれを避けようとしてしまう。それは老いへの不安についても同様であり、本当はそれを真正面から受け止めなければならないにもかかわらず、考えることを躊躇してしまう。

 しかしFuture Youという場が用意されることで、「将来の自分」もきちんと自分のこととして考えられるようになるのだろう。

 一方でMITの研究者らは、この手法に対する懸念点もいくつか挙げている。