バイデンは選挙戦撤退を余儀なくされたのに

 ここで、なぜ81歳のバイデンが党の大統領指名候補の座から下りる一方で、78歳のトランプには撤退を求める声が上がらなかったのかという疑問が浮上する。

 単純な答えは、民主党がパニックに陥っていたというものだ。

 バイデンは恐らく、選挙でトランプに敗れていただろう。有権者には、トランプよりはるかに弱々しいバイデンの身体的な外見がはっきり見えた。

 しかし、それぞれが話した言葉を読めば、違う印象を抱くはずだ。

 バイデンは時折、自分の話の要点を忘れ、よく尻切れになる。だが、言葉を書き起こした考えはおかしくない。

 ハリスは特に経済問題については、たどたどしく聞こえることがある。だが、トランプが言ったように「精神障害」を抱えている兆候は全くない。

 そこでトランプ自身の精神状態に話が戻る。

 今から1カ月ほどで、米国は何百万人もの不法移民を強制送還すると約束した人物を大統領に選ぶ可能性がある。

 収容所のネットワークを整備する考えも否定していない。移民が極めて危険なために、こうした対策が必要になるとトランプは言う。

 ウィスコンシン州プレーリードゥシーンで開かれた集会では「連中はあなたの台所に入ってきて、あなたののどを切る」と言った。

「殺人犯やレイピスト、不良、麻薬の売人、悪党、残酷なギャングのメンバーのこの大量移民の侵略から私がウィスコンシン州を解放する」