意味をなすように発言を
これが作り話であることは言うまでもない。だが、執着していると思われずに1日に何度もそうした場面を記録するのは難しい。
米国メディアはこのため、ことわざにある象をさわる盲目の男性のような印象を与えることがある。
さわっている物体の大きさと奇妙さは、把握するのが不可能だ。ゆえにトランプの言葉は省略され、筋が通るように聞こえる形に要約される。
メディアの左派論客はこれを、(不都合なことを隠すホワイトウォッシングならぬ)「セーン(正気)ウォッシング」と呼ぶ。
もっと良い言葉は「トランプ化」かもしれない。
2016年のトランプを再び見て、今のトランプと比べた人は誰も、彼の記憶が以前よりあやふやになり、語彙が減ったことを否定できないだろう。
架空の殺人鬼ハンニバル・レクターや感電死かサメに食われて死ぬかといったおなじみのネタに脱線することを避けた時でさえ、言葉の繰り返しが目立つ。
「カマラは精神障害を抱えている」
トランプは9月末にこう言った。
「ジョー・バイデンは精神障害になった。悲しいことだ。だが、嘘つきカマラ・ハリスは正直言って、生まれつきあんなふうだったと思う」